【観光用語おさらい】「持続可能な観光開発」とは何か?

こんにちは、合同会社観光ラボの狩野です。

本日は最近着目されている「サステナブルツーリズム」すなわち「持続可能な観光開発」について、
なぜ観光地経営にとってこのキーワードが重要なのかを整理してみます。


米国の観光系学部を擁する大学では、観光地開発の「基本のき」として学ばれている「持続可能な観光開発」ですが、
日本ではまだまだ「最近のはやり」と捉えられていることが多いようです。

多くのごみが漂着している、バリ島のビーチ

持続可能な観光開発とは?

持続可能な観光開発とは、環境、経済、文化的な観点での持続可能性を追求しながら、観光業を発展させることを指します。観光業が自然環境や文化資源を破壊することなく、地域の持続的な発展を促進することを目指すものです。

持続可能性というと、一般的には「環境の持続可能性」を連想される方が多いのですが
「経済的な持続可能性」と「文化の持続可能性」も配慮しなければいけない重要な要素なのです。
理想的な状態は、観光地の発展が地域社会全体の利益に繋がり、さらに観光客にとっても魅力的な観光体験が提供される、三方よしの状態です。

観光地の持続的な発展は地域経済の活性化につながり、雇用の創出や地域産業の育成などに貢献します。
また、観光産業がもたらす地域の文化や自然資源の保護や再生、地域住民と観光客の関係の改善など、社会的な側面でも良い影響を与えることができます。
しかし、一方で、過剰な観光開発が地域の生態系や文化資源を破壊し、地域住民の生活や文化を脅かすこともあります。

世界における「持続可能な観光」実装の成功例と失敗例

過去に持続可能な観光開発に失敗した例としては、バリ島が挙げられます。
バリ島は、世界的な観光地として人気があり、多くの観光客が訪れている場所です。
しかし、過去数十年間での急激な開発により、環境汚染や自然破壊、文化の商業化が進み、地域住民の生活や文化を脅かす事態が発生しています。
このような状況は、ビーチリゾートの品質の低下による観光客の減少や地域経済の停滞などを引き起こす可能性があります。

ニュージーランド・クイーンズタウンの休暇を楽しむ人たち

持続可能な観光開発に成功した例としては、ニュージーランドが挙げられます。
ニュージーランドは、環境保護に力を入れたエコツーリズムの推進や、地域文化や伝統を重視した取り組みを行い、持続的な観光開発を実現しました。このような取り組みが、多様な観光客の獲得や地域住民との良好な関係の構築など、多くの好影響をもたらしているのです。

「持続可能な観光」は、観光地や観光企業にとって「やらなければいけない制約条件」のようにとらえられてしまうことが多いのですが、
持続的な観光開発を実現することで、観光資源を長く活用できる環境を整えることができ、さらに雇用の上でも有利な環境を作り出すことができます。
また、サステナブルツーリズムを重視する顧客は一般に高収入層であることが多く、観光商品の高単価化・高付加価値化にも寄与します。
中長期的には観光地経営において多くの利益を得ることができるのです。

ではまた次の記事でお会いしましょう!

狩野

狩野詔子 Shoko Kano 
合同会社観光ラボ 代表社員

  中小企業診断士(近畿経済産業局 経営革新等支援機関), インダストリアル・エンジニア
  2018年より、中小企業診断士事務所を経営し、東北~関西の観光業のお客様の経営支援を行い、お客様の利益拡大に貢献してきた。
 データ活用支援、生産性向上を得意とする。
 
 大阪府中小企業診断協会 観光・サービス経営研究会 発起人
 神戸山手大学 非常勤講師(観光学科)、関西国際大学 非常勤講師(観光学科)を歴任。
 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、ヤマハ株式会社を経て現職。
 中央大学法学部 卒、京都大学 観光経営学講座修了、米国セントラルフロリダ大学 観光地経営・マーケティング Grad Certificate修了。

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